2017/11/21 16:33:37
低コスト・高効率の制服レンタル管理を実現
カマタニの意外な活用術の真相は
本記事では、RFIDを用いた事例として、制服の企画・製造・販売を行う、カマタニのケースを、同社 東京営業所 営業1課の佐々木泰子氏に伺ったので紹介する。
カマタニ 東京営業所 営業1課 佐々木泰子氏 |
急遽訪れたトレーサビリティと在庫管理のミッション
1919年(大正8年)創業のカマタニでは、学生服から企業向けの制服、そしてイベントなどで使用される衣装など、多種多様な制服の製造・販売を行っている。
これまでカマタニでは、基本的にすべての商品は「買取り」という形態で提供していた。だが、ある重要顧客より「今後は買取りではなくレンタルで提供してほしい」との要請があった。
買取りからレンタルになることで、これまでには不要だった制服の在庫管理とトレーサビリティが必要になり、これらを実現するためのシステム構築やコスト面での課題に直面していた。
今回のミッションで、カマタニ側が管理する制服の点数は約300人分。それぞれに、夏服・冬服、シャツ、装備品などがあり、一式では約20点。さらに、予備なども含めると管理する点数は合計1万点にものぼる。さすがに「いままでの手順でこれを管理することは不可能」と考えた佐々木氏は、新たな管理の手法を模索し始めた。
「最初は、バーコードで管理することを考えていて、いろいろな情報をインターネットで調べていました。そこでたどり着いたのが、日栄インテックさんのバーコード情報サイトだったのです」(佐々木氏)
そして、バーコードについての情報を収集し、顧客からのヒアリングを重ねていくうちに、バーコードではなくRFIDで管理した方が、今後の運用・管理面を考慮すると業務効率が大幅に改善できることに気づいたという。
「バーコードでは、スキャナで一つ一つを読み取る必要があります。より素早く、確実に読み取るためには、制服のたたみ方から変えなければなりません。ですが無線通信ができるRFIDなら、これまで通りのたたみ方で、しかも複数の点数を一度に読み取ることができます。これだけでも、バーコードとRFIDとでは、かかる手間が大幅に変わってきます」と佐々木氏は語る。
日栄インテックが運営するRFID情報サイト |
RFIDの活用で管理の手間とコストを大幅削減
とはいえ、バーコードは紙や布に印刷されたものであり、RFIDは小さいとはいえ電子部品である。当然ながらコストの面は気になるところだ。そこで佐々木氏は「ホームページにたどりついたのも何かの縁」ということで日栄インテックに相談してみたところ、今回のケースであればRFIDとバーコードのコストはさほど変わらないということが判明したという。
「これくらいの単価なら、バーコードとあまり変わりません。バーコード用のラベルは意外と高く、印刷するコストや読み取るためのスキャナ機器なども考えると、むしろRFIDの方がコストは抑えられると思いました」(佐々木氏)
今回カマタニが導入したRFIDシステムは、読み取り機器にRFIDをかざしてデータを登録し、その後は無線が届く範囲内(約50cm四方)に商品を通せば情報を収集できる。なお、使用するRFIDは耐久年数2年、洗濯200回まで可能となっている。さらに、同システム一式は非常にコンパクトである点も魅力のひとつだ。
「機器を見たことがない人は、みんな大掛かりなものだと思っているみたいで、現場から要請があって私が持っていくことになると、『一人で持って来られますか?』と心配されたりするぐらいです。このように、大掛かりなシステムやプラットフォームの開発が不要である点も、選定理由のひとつです」(佐々木氏)
しかし、今回のシステム開発に際してはかなり綿密な打ち合わせが行われたという。カマタニとしては、制服のレンタル提供は今回が初めての試みということもあり、日栄インテック側も要件定義やそのヒアリングを重要視していたためだ。
「具体的に日栄インテックさんに相談をしはじめたのは、2017年の4月頃です。そこからは数ヶ月にわたり、弊社との打ち合わせはもちろん、顧客との商談にも都度同席していただきました。日栄インテックさんのこうしたフットワークの軽さや真摯な姿勢も、導入を後押しした要因です。また、実際に仕様が決まってから導入までの時間は早く、1カ月でサービスインすることができました」(佐々木氏)
今回カマタニが導入した制服レンタル管理のRFIDシステム一式 |
「在庫・品質管理」の重要性
今後、このような制服レンタルの要望は、さらに高まることが予想されるが、同時に、制服の在庫・品質管理はますます重要になっていく。なぜなら制服は、業務の専門性が高ければ高いほど、それ自体が“身分証明”の代わりとなりうるからだ。
例えば、イベント会場で警備員の制服を着ていれば、立ち入り禁止区域にいたとしても不審がられる可能性は少ない。そのような制服が、もし紛失したり盗難されたりし、万が一犯罪などに利用されてしまったら、企業としての社会的信用は失われてしまう。
このように買取りであれば、これら管理の問題をすべて顧客側で解決しなければならないが、レンタルであれば、管理の大半をカマタニのような管理会社に安心して任せることができる。
「今回のケースは、私たちにとってもいい経験になりました。これからは販売だけではなく、レンタルも含めた“管理サービス”の提供も視野に入れていきたいと考えています。そのためにも、今回ご協力いただいた日栄インテックさんのサポート力には大変助かっておりますので、今後もいい関係を続けていければと思っております」と、佐々木氏は今後のRFIDと日栄インテックがもたらすビジネスの可能性について語ってくれた。
システムの管理画面。UIも非常にシンプルで「返却」「貸出」を選択しRFID[を読み込めば瞬時にデータを取り込める |
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